ときは千三百年以上前。ここ福岡には、国の玄関口「筑紫館
」、のちに「鴻臚館
」が存在した。
迎賓館として唐や新羅、百済などからの使者を迎え、我が国の高僧たちが海外へ旅立つ外公館であり、貿易の舞台として古代日本最大の国際交流の拠点であった。
遥かイスラム圏とのつながりもあり、最上級の学術、工芸、音楽などが集まったのである。茶も大陸からここに伝わったとされる。
当時、薬として珍重された茶と酒は、人々を癒し、異国の者同士が心を開き、語り、様々な文化を醸成させるに一役かったであろう。
時は移り二〇一二2012年。万は、鴻臚館跡地の南端に産声をあげた。この地に巡り合った稀有な縁と、壮大な歴史に敬意を表し、茶と酒をもって人々が出会い、語り合い、愉しむことができる茶酒房。
かつて、ここに東アジアの英智が集結したように、古き良き伝統文化と現代をつなぐ志を胸に。
未来へと、世界へと。